番号 |
歌 詞 |
写 真 |
駅 名 |
一 |
笠に木の葉の舞いかかる 木曽路の旅は昔にて
行き来の関に閉ざしなく 進みに進む今の御代 |
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二 |
木曽の山路も真鉄(まがね)敷き 今は汽笛と諸共に
夢に越ゆるも進み行く 御代の恵みに外ならず |
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三 |
名古屋の駅を今朝たちて あまたのトンネル越くれば
ここは東濃中津駅 恵那山ろくの電灯村 (でんとうそん)
岐阜県明知町は日本で一番早く1908年1月に町村営電気事業を開始した。戦前、道府県別でみても岐阜県は28の町村が電気事業を行い日本で一番多い。 |
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名古屋駅
中津川駅 |
四 |
中央製紙も程近く 富豪巨商も多しとや
右は落合山口の 模範村なり尋ねみん |
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落合川駅 |
五 |
坂下駅を打ちすぎて トンネルくぐれば田立村
名におう木曽路はこれよりぞ 川の向かいは賤母道(しずもみち) |
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馬籠宿
街道が山の尾根に沿った急斜面を通っておりその両側に石垣を築いて屋敷を造っていることから坂のある宿場として有名。 |
坂下駅
田立駅 |
六 |
夏の新緑冬の雪 秋の紅葉に名を得たり
渡島鉄橋越えくれば 読書村は三留野駅 |
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三留野駅 |
七 |
駅を南に吾妻橋 左にとれば妻籠駅
飯田旅客は大平 峠を越えて八里程 (はちりてい) |
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妻籠宿
全国で初めて古い街並みを保存した宿場町。出梁造り堅繁格子、卯建のある軒が続く道筋はまるで江戸時代にタイムスリップしたよう。 |
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八 |
桧の笠の蘭や 戻る宿場は馬籠駅
神坂越えなる霧原は 兼好法師の古跡なり |
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兼好法師塚 |
南木曽駅 |
九 |
三留野を後に早立てば 危うく通う羅天道(らてんどう)
工事の困難忍ばるる 与川柿其十二兼 |
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十二兼駅 |
十 |
名おば記(しる)して野尻駅 立つや黒煙製材所
入るや阿寺の御料林 木曽の五木に名を得たり |
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阿寺渓谷
砂小屋山に源を発する阿寺川が流れる渓。全長が約15キロあるエメラルドグリーンの清流の両岸には木曽五木が育つ。 |
野尻駅 |
十一 |
林は昼も尚暗く 伐るも尽くせぬ国宝は
木曾全渓を見積りて 反別三十五万町 |
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赤沢美林 |
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十二 |
恩賜の恵みにうるおいて いやに栄ゆる千秋道 (せんしゅうどう)
高倉峠を越え行けば 上松小川に続くなり |
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十三 |
花早く咲く殿村の 前に関山関所跡
兼平山の薄紅葉 赤く実るや長野柿 |
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大桑駅 |
十四 |
中山トンネル越え来れば 御影川原の伊那川や
川に掛かる黒鉄の 橋の行き来もいと易し |
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十五 |
桜盛(さくらざか)りに岩出(いわいで)の 観音詣でも面白や
彼方に木紙(ぼくし)工場の 資本は実に六十万 |
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岩出観音堂
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十六 |
沸え湯の中に咲き匂う 花漬け召せや須原駅
あたりに茂る新桑(にいくわ)の 蚕飼いの業こそ尊けれ |
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須原宿の水舟 |
須原駅 |
十七 |
倉本立町荻原や その名は古き風越山や
たもと涼しき小野の滝 滑川橋ぞ渡たりよ
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風越山 |
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小野の滝 |
倉本駅 |
十八 |
寝覚に見下(みお)す床の渕 奇(く)しき岩石(いわお)のたたずまい
木曾第一の名勝と 称えらるるもうべなりや |
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寝覚の床
巨大な花崗岩が木曽川の激流に刻まれてできた自然の彫刻でその壮大さは列車の車窓からも一望できる。浦島太郎伝説も有名。 |
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十九 |
瞬(まばた)くひまに上松駅 駒ケ岳へは四里あまり
三十六峯(ぽう)八千渓 奇(く)しき草木も多しとや |
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木曾駒ヶ岳
標高2956メートルで、木曽山脈(中央アルプス)の最高峰。 |
上松駅 |
二十 |
命をからむ蔦かづら 危うき木曽の桟も
今は往きかう汽車の旅 進み行く世ぞありがたき |
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桟
かつての日本三奇橋の一つ。中山道のこの辺りは断崖絶壁が続く命がけの難所だったため、壁面にへばりつくような桟橋をかけ通行に使用していた。
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二十一 |
左に白雪突(とつ)こつと 雲間に高く聳ゆるは
これぞ名高き御嶽山 海抜一万二百尺 |
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御嶽山
標高3067メートル。古くから霊峰として知られている。 |
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二十二 |
富士にも劣らぬ名山ぞ されど白衣に菅小笠(すげおがさ)
金剛杖の登山者に 夏の木曽路は栄ゆなり |
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二十三 |
石の鳥居の遥拝所 ここに落ちあう王滝川
その川上に氷が瀬(こおりがせ) 滝越しなどの名所あり |
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二十四 |
木曽福島の呼び声に 呼ばれて降りるステーション
木曾第一の都にて ただ一つなる発車駅 |
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木曽福島駅 |
二十五 |
戸数は一千足らずにて 住める人口約五千
南に続く八沢町 漆器を産するところなり
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八沢 |
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上ノ段
中山道の風情と現代の雰囲気が同居する。千本格子、なまこ壁の土蔵、水場などが残り江戸情緒が感じられる。 |
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二十六 |
役場に向かう大手橋 渡らば城跡向城
公立官衙(かんが)学校や 川に向かいて並びたり
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大手橋 |
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代官屋敷
山村家は木曽谷の徳川直轄地支配を任された木曾代官で福島関所の関守を兼ねその権力は強大であった。現存しているのは下屋敷の一部と庭園のみ。 |
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二十七 |
関町こそはその昔 関所のありし所なり
花の盛りは琴平山 (こんぴらさん) 市街(まち)も一目に景色よし |
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福島関所跡
日本四大関所の一つ。中山道のほぼ中央に位置し、創設以来約270年間中山道の要衝として「入鉄砲」「出女」を取り締まった重要な関所。 |
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二十八 |
緑陰深き城山に 権現滝の涼みあり
その麓(ふもと)なる木曽支庁 礎堅(いしずえかた)く設けたり |
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二十九 |
支庁に隣(とな)るは興禅寺 木曾第一の大伽藍
なれ共去る年回禄に 烏有(うゆう)となりしぞ新しき |
興禅寺
雲海の美をテーマにした「看雲庭」と呼ばれる広さが日本一の枯山水の庭が有名。木曽義仲の墓がある。 |
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三十 |
七月毛付(けづ)けの馬市は 木曾第一の賑わいぞ
水無の神輿の御祭(みまつり)も また面白き慣わしや |
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神輿まくり
「天下の奇祭」として知られ町中を練り歩いた白木の大神輿を横に縦にと地面に転がして最後には壊してしまうという荒々しいお祭り。 |
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三十一 |
木曽の俗謡木曽節の 夏でも寒い御嶽は
福島町より八里半 黒沢王滝道二つ |
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三十二 |
御影堂(おえど)に分かれて右左 二つの道は登山者の
好みに任せ里宮を 拝みて登れ剣ヶ峰 |
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里宮 |
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三十三 |
風も涼しき黒川渡 新開村に発電所
地蔵峠を越え行けば 西野末川奥もあり |
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黒川 |
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三十四 |
野にはいななく木曽の駒 そのあがきさえ勇ましく
駒のたてがみ長峯の 峠は飛騨の境なり |
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三十五 |
福島駅を出発(いでたち)て 上田の里はその昔
彼の中原の兼遠が 館の跡も残るなり |
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中原兼遠屋敷跡 |
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三十六 |
線路の左田圃中 一本松(ひともとまつ)は義仲の
昔を語る記念にて 元服松とは知られたり |
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原の駅 |
三十七 |
義山宣公義仲の 古跡の多き宮ノ越
駅より近き旧里(きゅうり)の碑 山村良由(りょうゆう)建立ぞ |
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義仲館
木曽義仲は源頼朝・源義経の従兄弟。源氏初の征夷大将軍に任じられるが義経らの軍に敗れ非業の死を遂げる。平家の大軍を一夜のうちに壊滅させた「倶利伽羅峠の戦い」は有名。 |
宮ノ越駅 |
三十八 |
鐘の音響く徳音寺 日照山と号すなり
朝日将軍開基にて また将軍の菩提所ぞ |
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徳音寺
1168年木曽義仲が母小枝御前を葬った寺で一族の菩提寺。境内には義仲・巴御前らの墓がある。 |
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三十九 |
御手洗(みたらし)清き南宮社 旗揚八幡古城跡
秋の紅葉は山吹山 横手の下は巴渕
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巴渕 |
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四十 |
伊那路に通う街道は 越尾の岨道(そばみち)右に入り
神谷峠に羽淵萱 権兵衛峠を越ゆるなり |
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権兵衛トンネル開通記念碑
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四十一 |
山吹トンネル早過ぎて 菅に訪(と)い行くくすし道
稼ぎいとなむお六櫛 藪原駅に着きにけり
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民蘇堂野中眼科資料館 |
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水木沢
水木沢天然林は木曽川の源流にあり林内の98%が推定樹齢200年以上の天然林で中でも樹齢約550年・直径2,5mの大サワラは圧巻。 |
藪原駅 |
四十二 |
小木曽乙女に言訪(ことと)いて 境峠を越え行けば
安曇に近き奈川村 野麦街道に通うなり |
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四十三 |
鳥居峠は名もしるき これぞ南北分水界
木曽と奈良井の二川の 流れはここに出(いづ)るなり |
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鳥居峠 |
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四十四 |
天正年間木曽武田 兵を交えし古戦場
ここに穿(うが)ちしトンネルの 長さは五千四百尺 |
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四十五 |
過れば楢川奈良井駅 ここの産物塗櫛(ぬりぐし)は
平沢漆器と諸共に 多額の算出ありという |
奈良井宿
鳥居峠の麓にあり江戸時代には「奈良井千軒」といわれるまでに栄えた宿場。 |
奈良井駅 木曽平沢駅 |
四十六 |
かじか鳴くなり奈良井川 行けば程なく贄川や
花まだ咲かぬ桜沢 東西筑摩の境なり |
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贄川駅 |
四十七 |
馬を洗いし真清水の 名こそ残れ洗馬の里
これより眼界うち開け 松本平の広野(ひろの)なり |
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日出塩駅
洗馬駅 |
四十八 |
行けば程なき塩尻は 篠ノ井線と交差点
北に走れば松本市 目標(めあて)はしるし天守閣 |
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塩尻駅
松本駅 |
四十九 |
山紫(やまむらさき)に水清く 木曽路の旅もつつがなく
諏訪山梨や八王子 花の都も一日路(いちにちじ) |
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諏訪湖 |
上諏訪駅
八王子駅 |
五十 |
山を貫き谷を越え 中央線は工なりぬ
都の人も鄙人(ひなびと)も 木曽の山里尋ね見よ |
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